正体不明の寄生虫

2007/3/1

これを読まれる方のほとんどは出会うことの少ない寄生虫だと思われますが、プレコについている事があるレアな寄生虫の紹介です。

私がこれを最初に見たときには、丁度思春期に出来るニキビのような丸いものが魚に出来ているのか?と思いました。 プレコの腹側に数個ポツポツと直径1mmくらいの卵の黄身のような色をした膨らみがありました。 今では思いもよらない事ですが、発見当初は「まさかお腹の中の卵が??」とも考えてしまいました。 プレコの状態は特に弱っている様子もなく見た目、その部分を除き普通でした。

しかしその考えは一瞬で覆されました。 よく見ると、そのニキビのような丸い物体は皮の下で蠢いているように見えました。 寄生虫か! 皮膚の下に完全に潜り込んでいるので、薬浴では効き目がなさそうでした。

私はしばらく悩みましたが、取り出すのもこの魚の為と思い込み、新しいカッターナイフの刃を用意しました。 突っつくようにしながら、傷が最小限になるよう切開しました。 すると・・・出てきました。 その形状は、2mmほどの黄色いプラナリアのようなものでした。

 

気持ちのいいものではありませんが、顕微鏡でも見てみたところ、丁度ゾウリムシの繊毛を取ったような形状で、寄生している場所で丸まっていたようです。 その後メチレンブルーの原液に一晩浸けてみましたが、翌日まだ生きていたので、さすがに「プチッ」とさようならをしました。

その後、もう一度プレコの外見を一通りチェックし、他にいないのを確認しました。 その後は見られなくなりました。

プレコにこいつがいた場合(極々まれ)、私は以下のような対処法を実施しています。

この寄生虫は表皮のすぐ内側で移動しているようで、その様子を見ることが出来ます。 プレコの硬い鱗の内側に入っているものは(画像腰の辺り)取り出しにくいので、無理をしない方が良いと思われます。 柔らかい部分に移動してきた時に処置したほうが良いでしょう。

この寄生は、チョウのように瞬時に起こることは無いので、仮に見つけてもあわてることはありません。 何らかの状態で、体内より排出された後、他のものより経口で入るのではないかと考えています。 あくまでただの予測ですが。 今までの経験上、この寄生虫は数例見たことがありますが、何故かオレンジフィンブラックカイザーがその殆どでした。

追記

イカや生のタラコに見つかることのあるニベリニア(Nybelinia)条虫類(四吻目)に近いものだと思われるというご意見をいただきました。 人には寄生しないらしいです。