酸素濃度が低くても大丈夫そうなプレコの種類

2008/2/22

Geekなぺーじ管理人です。 「Modification of the Digestive Tract for Holding Air in Loricariid and Scoloplacid Catfishes, Jonathan W.Armbruster, Copeia 1998(3), p663-675」という論文を読みました。 プレコやその他ナマズが空気を吸う事に関しての論文でした。

この論文では、プレコが持つ内臓の構造を8種類に分類しています。 今回は、その論文の中から「酸素濃度が低い状態の環境に生息している」と表現されているプレコの種類を抜粋してみました。 論文中でタイプ3(state 3)とされる種類は、主に酸素濃度が低い環境で生息しているそうです。

タイプ3には、以下のような魚種がいます。

  • Glyptoperichthys (all)
  • Hypostomus panamensis
  • Liposarcus (all)
  • Pterygoplichthys
  • Hemiancistrus annectens
  • Hemiancistrus maracaiboensis

Glyptoperichthysは各種セルフィンプレコ、サタンプレコ、レンジャーインペリアルなどです。 Hypostomus panamensisは良くわかりませんでしたが、恐らくいわゆるヒポストムス系プレコだと思います。 Liposarcusはトリニダードを想像して下さい。 Pterygoplichthysもトリニダードっぽいですね。

Hemiancistrus annectensはグループとしてWels Atlas2 1184ページに記載されています。 Hemiancistrus maracaiboensisも1184に1944年に登記された魚種として名前だけが記載されています。 両方とも和名が何プレコだかわかりませんでした。

これらのリストを見ていると、東南アジアなどで既に繁殖が盛んな種類が揃っている気がします。 輸送技術が確立する前でも輸送に耐えられるような強い種類は、空気を吸う能力も高いのかも知れません。

プレコ飼育に関しては一般的に「酸素を豊富にしなくてはならない」とされています。 一言に「プレコ」と言っても種類は非常に多様です。 今回、この論文を読んで、本当に全ての「プレコ」がすべからく豊富な酸素を必要としているのか多少疑問に思いました。

ただ、エアーレーションをしなければアンモニアが無害化しにくくなるという問題もあるため、プレコが酸素を豊富に必要としていなくても、水槽という限られた環境ではエアレーション等はあった方が良いと思われます。

なお、腹部の構造は違いますが、Otocinclusも空気呼吸をできるそうです。

腹部の図

以下の図は論文から引用しています。 タイプ3として紹介されているプレコの解剖図です。


論文より引用
A : branch of the coeliac artery (腹腔動脈の枝)
V : vein to stomach (腹への血管)
S : stomach (腹)
INT : intestine (腸)
ES : esophagus (食道)
PY : pylorus (幽門)
TS : connective tissue sheet (結合組織性薄膜?)
OV : ovary (卵巣)